職場のメンタルヘルス対策を支援するフィスメック

03-3255-3698 / 平日9:00~17:15

お知らせ・新着情報

第29回日本産業ストレス学会で当社社員が研究を発表

2022/04/20

2022年3月25日(金)~26日(土)に開催された『第29回日本産業ストレス学会』で、当社の社員がストレスチェックデータに基づく研究の発表を行いました。

詳細は以下の通りです。

■学会名:第29回日本産業ストレス学会
■演題名1:組織的公正とハラスメントの関係性―2020年ストレスチェックデータに基づいて
■演題名2:2018~2020年のストレスチェックデータに基づく、ワーク・エンゲイジメントに影響を与える仕事の資源
■発表内容:以下参照


<br>

組織的公正とハラスメントの関係性―2020年ストレスチェックデータに基づいて

共同演者
小田切 岳士 (医療法人社団弘冨会 神田東クリニック/MPSセンター/産業精神保健研究所)
樺沢 敏紀 (株式会社フィスメック)
尾崎 直広 (株式会社フィスメック)

発表概要
【目的】「パワハラ防止法」(厚生労働省、2020)では、ハラスメントが定義され、関連する行為の防止などが盛り込まれている。しかし、防止措置を講じるということだけでは、「あらゆる行為がハラスメントと捉えられかねない」という、現場が抱えている困難さは解消できないと考えられる。では、職場・組織が、従業員と業務上必要な関わり・コミュニケーションを行う上で注意すべきことはなにか。本研究では、組織的公正と、ハラスメントを受けたという認知との関係性について、ストレスチェック回答データから分析することで、職場・組織として推奨される働きかけに関する手がかりを得ることを目的とした。

【方法】法人向けメンタルサービスを提供しているA社が受注し、2020年4~12月に「新職業性ストレス簡易調査票(短縮版)」に回答した73,945名のデータを対象とした。変数は、ハラスメント項目として「職場のハラスメント」、組織的公正項目として「経済・地位報酬(分配的公正)」「変化への対応(手続き的公正)」「上司の公正な態度(対人的公正)」「公正な人事評価(情報的公正)」を用いた。また全ての項目は、高いほど良好(組織的に公正であり、ハラスメントが少ない)と解釈できるよう処理した。

【結果】Spearmanの順位相関分析の結果、職場のハラスメントとの相関が高い順に「上司の公正な態度」(rs=.305)、「公正な人事評価」(rs=.170)、「変化への対応」(rs=.153)、「経済・地位報酬」(rs=.143)となった(いずれもp<.01)。

【考察】いずれの公正性も職場のハラスメントと関連しており、特に上司が誠実な態度で接してくれていると感じる労働者ほど、職場でいじめを受けているという感覚は少ないことがわかった。ハラスメントの「防止」など抑制的アプローチと併せて、「誠実な態度で接すること」を奨励する促進的アプローチを行うことで、結果としてハラスメントを受けているという認知を低減することに繋がる可能性が示唆された。

<br>


<br>

2018~2020年のストレスチェックデータに基づく、ワーク・エンゲイジメントに影響を与える仕事の資源

共同演者
樺沢 敏紀 (株式会社フィスメック)
尾崎 直広 (株式会社フィスメック)
小田切 岳士 (医療法人社団弘冨会 神田東クリニック/MPSセンター/産業精神保健研究所)

発表概要
【目的】ワーク・エンゲイジメント(WE)は、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活きしている状態(Schaufeli,2002)を指す概念である。WEを活性化する要因の一つに「仕事の資源(Schaufeli,2004)」が挙げられ、その下位分類として「作業レベル」「部署レベル」「事業場レベル」が存在する。小田切ら(2019)は、ストレスチェック法制化3年目(2018年2月~11月)に収集されたデータを用いて、これらのレベルがどのようにWEに影響しているかを検証したが、本研究では2018~2020年度の回答データを用いて同様の分析を行うことで、今現在における各資源とWEの関係性、また、コロナ禍以前から以降にかけての変化を検討することを目的とした。

【方法】法人向けメンタルサービスを提供しているA社が受注し、「新職業性ストレス簡易調査票(短縮版)」に回答したデータを対象とした(2020年:73,945名、2019年:33,186名、2018年:26,396名)。また、小田切ら(2019)のモデルに基づくSEMによる分析を行った。

【結果】いずれの年も説明力を有するモデルであることが示された。標準化係数は部署→作業(2020:.38、2019:.36、2018:.36)、事業場→作業(2020:.27、2019:.29、2018:.27)、作業→WE(2020:.45、2019:.47、2018:.46)、事業場→WE(2020:.39、2019:.37、2018:.38)であった(いずれもp<.001)。

【考察】小田切ら(2019)同様、部署レベルの資源が作業レベルの資源を増加させることによって、間接的にWEを向上させるというプロセスが明らかとなった。また、事業場レベルは作業レベルを通じて間接的に、あるいは直接的にWEに影響を与えていた。これらのプロセスは2018年から継続しており、コロナ禍以降も大きな変化は見られなかったため、環境に左右されない一定の普遍性をもつモデルであると考えられる。