休職者・復職者対応を見直そう

令和5年6月30日、厚生労働省から令和4年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html

そのうち、精神疾患での請求件数は2,683件と、前年度に比べて337件の増加となり、働く方のメンタル不調は、増加の一途を辿っていると言わざるを得ない状況です。メンタル不調で休職された従業員への対応、復職支援に頭を悩ませている人事・労務ご担当者様も多いのではないでしょうか。そこで今回は、いざという時に慌てないよう、休職者・復職者対応のポイントを確認しておきましょう。

基本のステップ

メンタル不調で休業した従業員の復帰支援は、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に基づいて行うのが良いでしょう。この手引きでは、病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまでの対応が、以下の5つの段階に分けて示されています。

手引きにある職場復帰支援の流れ

<第1ステップ> 病気休業開始及び休業中のケア
<第2ステップ> 主治医による職場復帰可能の判断
<第3ステップ> 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
<第4ステップ> 最終的な職場復帰の決定
<<職場復帰>>
<第5ステップ> 職場復帰後のフォローアップ

職場復帰の手引きの落とし穴 ―突然訪れる第2ステップ―

従業員の職場復帰支援は、基本的にはこの手引きに従って対応して頂ければ問題ありません。しかし、一つ気をつけて頂きたいポイントがあります。それは、「第1ステップの段階から、第5ステップまで見据えた準備を進めておくこと」です。

実はこの手引き、<第2ステップ>からは可能な限り迅速に事を進めていく必要があるのですが、期間については特に書かれていないので、そのことに気づかないまま<第1ステップ>の期間が過ぎてしまうことがよくあります。

そうなると、休業中の社員からある日突然「復職可の診断書」が提出され、「復職可否の判断はどうすればいいの?」、「復職後の受け入れ準備はどうするの?」と現場は大慌てになってしまいます。

実際、「従業員から復職可能の診断が出てきたけれど、どうしたらいい?」というご相談はよくお受けしますので、これは是非とも気をつけて頂きたいポイントです。従業員の方が休業中から定期的に連絡を取り合える体制を作っておき、そろそろ復職というタイミングに合わせて、受け入れの準備を進められると良いですね。