今回も、心理的負荷による精神障害の認定基準について(2023/09/01)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf
を参考にしています。
特別な出来事以外の判断方法
「特別な出来事以外」は、項目ごとに心理的負荷の強度が判断されます。一番近い項目に当てはめて項目ごとに「弱」「中」「強」を決めていき、「特別な出来事以外」の心理的負荷の総合評価が決まります。
注目したいのは、複数の出来事が絡む場合です。例えば「特別な出来事以外」のある項目で、心理的負荷の強度が「弱」や「中」に当てはまったとします。これでは労災認定に進めないのですが、加えて恒常的長時間労働(1か月おおむね100時間の時間外労働)がある場合は、心理的負荷の総合評価では「強」となることがあります。
このように、複数の要因が絡んでいたり、特別な状況がある場合は、それらを加味した判断がなされます。心理的負荷の強度は労働基準監督署が調査し判断するものですが、この表には参考として強度の平均値が弱い順に「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」で載っています。
業務による心理的負荷評価表(特別な出来事以外 – 7類型29個)
事故や災害の体験
- 業務により重度の病気やケガをした(Ⅲ)
- 業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(Ⅱ)
(注)生死にかかわる等の業務上の病気やケガは、「特別な出来事」として評価
仕事の失敗、過重な責任の発生等
- 業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした(Ⅲ)
- 多額の損失を発生させるなど仕事上のミスをした(Ⅱ)
- 会社で起きた事故、事件について、責任を問われた(Ⅱ)
- 業務に関連し、違法な行為や不適切な行為等を強要された(Ⅱ)
- 達成困難なノルマが課された・対応した・達成できなかった(Ⅱ)
- 新規事業や、大型プロジェクト(情報システム構築等を含む)などの担当になった(Ⅱ)
- 顧客や取引先から対応が困難な注文や要求等を受けた(Ⅱ)
- 上司や担当者の不在等により、担当外の業務を行った・責任を負った(Ⅰ)
(注)他人を死亡させる等の事故は、「特別な出来事」として評価
仕事の量・質
- 仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった(Ⅱ)
- 1か月に80時間以上の時間外労働を行った(Ⅱ)
- 2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った(Ⅱ)
- 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した(Ⅱ)※2023年9月の改正箇所(新設)
- 勤務形態、作業速度、作業環境等の変化や不規則な勤務があった(Ⅲ)
(注)発病直前の1か月におおむね160時間を超える等の極度の長時間労働は、「特別な出来事」として評価
役割・地位の変化等
- 退職を強要された(Ⅲ)
- 転勤・配置転換等があった(Ⅱ)
- 複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった(Ⅱ)
- 雇用形態や国籍、性別等を理由に、不利益な処遇等を受けた(Ⅱ)
- 自分の昇格・昇進等の立場・地位の変更があった(Ⅰ)
- 雇用契約期間の満了が迫った(Ⅰ)
パワーハラスメント
上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(Ⅲ)
対人関係
- 同僚等から、暴行又はひどいいじめ・嫌がらせを受けた(Ⅲ)
- 上司とのトラブルがあった(Ⅱ)
- 同僚とのトラブルがあった(Ⅱ)
- 部下とのトラブルがあった(Ⅱ)
- 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(Ⅱ)※2023年9月の改正箇所(新設)
- 上司が替わる等、職場の人間関係に変化があった(Ⅰ)
セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントを受けた(Ⅱ)
(注)強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントは、「特別な出来事」として評価