労災認定要件からわかる働く人のストレス要因(6_業務以外での出来事)

今回も、心理的負荷による精神障害の認定基準について(2023/09/01)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf
を参考にしています。

日常生活での出来事もストレスになる

会社で受ける一般的なストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票57問など)では、日常生活での出来事によるストレスはほとんど計測できません。そのため、知らず知らずのうちにストレスが蓄積している可能性があります。仕事では特別何もないのに「最近、なんか疲れた」と感じていて、自分なりに対処してみても一向に良くなる気配がないという場合、実はメンタルから来ている不調かもしれません。その不調が日常生活のとある出来事によるものだと気づければ、カウンセリングを受ける、病院の診断を受けるといった適切な方向に進むことができるでしょう。そのためにも、日常生活ではどのようなことがストレスになるか知っておきましょう。

専業主婦や学生のストレスの基準にもなる

外に働きに出ていなければストレスがないかというとそうではありません。こちらの「業務以外の心理的負荷評価表(6類型32個)」では、日常生活でストレスとなる出来事が分かることから、専業主婦(主夫)はもちろん、大学生、高校生、中学生、小学生などでも参考にしていただく価値はあると思います。

今現在、これらの出来事に遭遇していなくても、今後このようなことが起きたとき、どのくらいのストレスになるのかを知っておくことで、その出来事に遭遇してしまったときも「この出来事は大きなストレスになるはずだ」と心の準備ができるようになります。

業務以外の心理的負荷評価表(6類型32個)

この表には強度の指標「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」が載っています。「特別な出来事」や「特別な出来事以外」で心理的負担の評価が「強」になっていても、この「業務以外」の出来事で当てはまるものが多いと「業務が原因」と判断されないことがあります。

自分の出来事

  • 離婚又は配偶者と別居した(Ⅲ)
  • 自分が重い病気やケガをした又は流産した(Ⅲ)
  • 自分が病気やケガをした(Ⅱ)
  • 配偶者とのトラブル、不和があった(Ⅰ)
  • 自分が妊娠した(Ⅰ)
  • 定年退職した(Ⅰ)

自分以外の家族・親族の出来事

  • 配偶者、子供、親又は兄弟姉妹が死亡した(Ⅲ)
  • 配偶者や子供が重い病気やケガをした(Ⅲ)
  • 親類の誰かで世間的にまずいことをした人が出た(Ⅲ)
  • 親族とのつきあいで困ったり、辛い思いをしたことがあった(Ⅱ)
  • 親が重い病気やケガをした(Ⅱ)
  • 家族が婚約した又はその話が具体化した(Ⅰ)
  • 子供の入試・進学があった又は子供が受験勉強を始めた(Ⅰ)
  • 親子の不和、子供の問題行動、非行があった(Ⅰ)
  • 家族が増えた(子供が産まれた)又は減った(子供が独立して家を離れた)(Ⅰ)
  • 配偶者が仕事を始めた又は辞めた(Ⅰ)

金銭関係

  • 多額の財産を損失した又は突然大きな支出があった(Ⅲ)
  • 収入が減少した(Ⅱ)
  • 借金返済の遅れ、困難があった(Ⅱ)
  • 住宅ローン又は消費者ローンを借りた(Ⅰ)

事件、事故、災害の体験

  • 天災や火災などにあった又は犯罪に巻き込まれた(Ⅲ)
  • 自宅に泥棒が入った(Ⅱ)
  • 交通事故を起こした(Ⅱ)
  • 軽度の法律違反をした(Ⅰ)

住環境の変化

  • 騒音等、家の周囲の環境(人間環境を含む)が悪化した(Ⅱ)
  • 引越した(Ⅱ)
  • 家屋や土地を売買した又はその具体的な計画が持ち上がった(Ⅰ)
  • 家族以外の人(知人、下宿人など)が一緒に住むようになった(Ⅰ)

他人との人間関係

  • 友人、先輩に裏切られショックを受けた (Ⅱ)
  • 親しい友人、先輩が死亡した(Ⅱ)
  • 失恋、異性関係のもつれがあった(Ⅱ)
  • 隣近所とのトラブルがあった(Ⅱ)