メンタルヘルス対策ワクチン??
「メンタルヘルス対策にワクチンなんてあるの?!」と思われた方、正常な反応です(笑)
「メンタルヘルス対策ワクチン」と定義された言葉はありませんが、研修はメンタルヘルス不調者の早期発見・対応や職場のコミュニケーションの円滑化に役立つため、メンタルヘルス対策の中では一次予防に位置づけられます。
一次予防はセルフケアやラインケアなど不調者を発生させないことを目的としているため、さながら予防接種のような役割のため、研修を「メンタルヘルス対策ワクチン」と言ってもよいのではないでしょうか。
研修で「アンテナ」を立てる
研修は、組織が教育として業務の一環で行うため、従業員の皆さんは半強制参加のような形になります。組織にもよりますが、参加者のモチベーションは 高い:普通:低=20%:60%:20% の割合で参加されることが多いように感じます。
モチベーションが高い20%の参加者は、研修を受けずとも意識してメンタルヘルス対策に取り組めているので問題ないです。モチベーションの低い20%の参加者は、あたかも修行のように研修を過ごされ…忍耐力は付くかもしれません。メンタルヘルス教育研修で目標にしているのは、モチベーションが低いあるいは普通の80%の参加者を、モチベーションが高く意識してメンタルヘルス対策に取り組めるようにすることです。
研修の中では知識や情報もお話しますが、それをどのように日常(職場)で活用するかを講師の体験やこれまで相談対応をした事例(特定の個人ではなく複数のケースを混ぜた形)の中から紹介します。参加者に「なんだか自分にも出来そうだ」と思わせることで、学んだ知識を行動に移してくれる可能性があります。ですので、我々は研修を通じて、何か一つでもキーワード、取り組みについて参加者が関心を持って帰ってくださるように工夫しています。
参加者が一つでも関心を持ち帰ったら、参加する前よりも一つアンテナが立ったと言えます。アンテナが立つと今まで気にしていなかった情報を拾い始めます。そうすることで、セルフケア、ラインケア、周囲とのコミュニケーションの変化へと繋がっていくのです。
研修は「接着剤」にもなる
研修は知識・情報を学び、参加者の行動変容を促す取り組みですが、もう一つ隠れた役割があるのです。それが「接着剤」の役割です。どんな役割なのかを説明します。
研修は、集合型(会議室などに集まる)とオンライン型※に分けられますが、どちらの場合でも参加者に直接情報を共有・周知ができる場でもあるのです。
※eラーニングやオンデマンドでの動画視聴は除く
講師でも管理部門のご担当者でも構いませんが、カウンセリング窓口やハラスメント相談窓口、組織としての今後のメンタルヘルス対策の目標などを研修の終わりに周知することができます。
セルフケアやラインケアの研修であれば、最後にカウンセリング窓口を紹介することで、窓口を利用しやすくなるかもしれません。使わずとも「うちの組織にはカウンセリング窓口があるのだ」と知ってもらうだけでも十分なのです。組織が様々な取り組みや制度を用意していても従業員が知らなければ、それは存在していないことと同じではないでしょうか。
研修の場で、改めて組織の取り組みや制度の情報をPRし「認知」してもらうことがメンタルヘルス対策の第一歩になります。組織の取り組みや制度を、研修の参加者につなげるという意味で「接着剤」としても、研修は機能するのではないでしょうか。