睡眠不足は万病のもと
睡眠に関する調査によると、日本人成人の20%が慢性的な不眠、日本人成人の15%が日中に過剰な眠気を感じていることから、睡眠不足は多くの人にとって身近な問題です。睡眠は心と身体のメンテナンスを行う大切な時間で、メンテナンス不足の機械が故障してしまうように、人間も心と身体のメンテナンスを怠るとけがをしたり、病気になってしまったりします。
特に、睡眠不足は免疫力に影響を及ぼします。風邪をこじらせて肺炎になるリスクは、睡眠時間が5時間未満の人は8時間睡眠の人に比べて1.4倍という報告があります。
加えて、睡眠不足はメンタルヘルスの低下をもたらします。不眠や睡眠不足によってうつ病や適応障害の症状悪化に繋がるなど、睡眠不足によってメンタルヘルスに影響が出ることは珍しくありません。ですから睡眠をとることは身体の健康だけでなく、心の健康も維持することに繋がるわけですね。
変化の多い4月や5月は特に睡眠が大事
誰もが睡眠をとりますが、実は睡眠については分かっていないことが多くあるのです。身近な事こそ、分からないことが沢山あります。睡眠を十分にとることが出来れば、心身のエネルギーの回復に繋がり、パフォーマンスやメンタルヘルスの向上が望めるため、世界中で睡眠について研究が行われています。
そして、最近の研究では、睡眠は「規則正しい生活が大切」という事がより明確になってきました。4月は新年度で様々な転機を迎えた方、新しい仕事を覚えて頑張ろうという方など、多くの方に変化が起きます。変化が起きると規則正しい生活は乱れがちになり、睡眠不足になりやすくなります。こうした時こそ「規則正しい生活」をいつも以上に意識して睡眠を十分にとっていただけたらと思います。
規則正しい生活に必要なこと
では具体的に「規則正しい生活」とはどのようなものなのでしょうか。睡眠をとるために必要な要素は、次のとおりです。
- 同じ時間に起きる
- 同じ時間に食べる
- 適度な運動をすること
「1. 同じ時間に起きること」が重要な理由
これは体内時計のリセットが出来るからです。人間の体内時計は25時間で、地球の時間と少しだけズレています。そのズレを修正するのが日光や食事の時間であると言われています。起きる時間がバラバラだと、体内時計もバラバラになり、心も乱れがちになるわけです。
「2. 同じ時間に食べること」が重要な理由
それは内臓が働く時間を規則的にしやすく、身体活動のオンオフを切り替えやすくなるからです。長時間労働や残業によって食事の時間が不規則になると、身体はエネルギーを貯めこもうとして太りやすい体質になったり、メリハリのない生活習慣によるメンタルヘルスへの影響は非常に大きいため、出来る限り同じ時間に食べるように心がけましょう!
「3. 適度な運動」が睡眠に重要な理由
皆さんもこれまでの経験で、たくさん身体を動かした後は疲れて眠くなったことがあると思います。しかし、意外なことに、なぜ身体を動かすと眠くなるのかは科学的には分かっていませんでした。経験的には分かっていましたが、科学的根拠をもって立証された研究があまりなかったようです。
そして、最近の研究で判明したことは、身体活動によって細胞レベルで疲労物質が貯まり、その疲労物質を分解しようという身体反応として眠くなるようです。
また、「どれくらいが適度な運動なの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。適度な運動は誰かとおしゃべりをしながら運動ができ、汗ばむ程度が良いとされています。このペースを続けたときに感じる疲労が適度な疲労です。
ただし、運動習慣や体力は人それぞれのため、「心地よい」と感じる運動強度で続ける事が大切です。ここ数年で広まったテレワークにより、運動習慣が無くなってしまった方も多くいらっしゃいますが、座っている時間を減らし、運動する習慣を身につけると、質の良い睡眠をとることができます。適度な運動による疲労で、心地よい睡眠をとれるようにしていきましょう。
睡眠が心身の健康を保つ
睡眠不足は意外と見過ごされがちですが、心身の健康を保つために重要なものの一つです。
睡眠が取れなくなると、メンタルヘルスの低下を招きます。また、メンタルヘルスの低下によってさらに眠れなくなるというのは心身からの危険信号である可能性が高いため、普段から睡眠不足には気を付けていきましょう。睡眠を十分にとることが出来れば、様々な病気の予防や、うつ病・適応障害などの精神疾患からの回復も早くなります。
食事・運動・睡眠は規則正しい生活をもたらし、それぞれは密接に繋がっています。つまり、睡眠をとるためには、睡眠そのものを考えることも大切ですが、食事や運動をしっかりと意識してみることも非常に重要です。ぜひ、日々の生活を見直し、睡眠の改善をして、心身の健康の維持を心がけてみてくださいね。