政府や教育機関は、女性に対するステレオタイプ(固定観念)を排除し、ステレオタイプに基づくバイアス行動(偏見)を取らせないようにする取り組みを、以前から行なってきました。しかし、家庭ではどうでしょうか?
昔は女性は週6時間までしか残業できなかった
1986(昭和61)年に、男女雇用機会均等法が施行されました。
「男女雇用機会均等法の変遷」によれば、男女雇用機会均等法の施行までは、女性保護の観点から、残業は原則として一日2時間、週6時間まで、深夜業は原則禁止(一部の業務のみOK)、危険有害業務の禁止、帰郷旅費支給義務、母性保護などが労働基準法で規定されていたようです。
これらの規定は、女性を守るための施策だったとは言え、就業時間が男性よりも少ないことで、女性はなかなか成果が上げられず、賃金が上がらず、昇進ができないといったデメリットがありました。
性別を理由とした就業上の差別は禁止されている
その後も男女雇用機会均等法の改定が行なわれ、現在は、募集・採用・配置・昇進・降格・教育訓練・福利厚生・職種・雇用形態の変更・退職勧奨・定年・解雇・労働契約の変更において、性別を理由とした差別が禁止されています。
みなさまの職場でも、男性も女性も同じ仕事を担当し、同じ時間働くことは当たり前になっているのではないでしょうか。
昔は男女で習う科目が違っていた
教育機関では、1989(平成元)年の中学校・高等学校の学習指導要領の改訂で、科目履修の男女差がなくなりました。
中学校では1993(平成5)年~2001(平成13)年の間に、男女とも技術科と家庭科が必修になりました。高校では1993(平成5)年~2002(平成14)年の間に、男子も家庭科が必修になりました。
都立高校の8割以上が女子のスラックスを認めている
学習指導要領だけでなく、学校内のルールにおいても男女差をなくす取り組みとして、出席番号が男女混合順になったり、学校制服で女子もスラックスを選べる学校が増えたりしています。2022年の東京都教育委員会の調査によると、都立高校の80.8%が女子のスラックスを認めているそうです。
このように、政府や教育機関ではステレオタイプ・バイアスの施策が実行されてきています。しかし、家庭ではどうでしょうか。
家庭で言われる「女の子なんだから」
女性なら、子供時代に親から「女の子なんだから」というフレーズを言われたり、女の子を持つ方は「女の子なんだから」というフレーズを子供に使ったりしているのではないでしょうか。
「女の子なんだから」に続くフレーズは、「虫を触らない」「髪を乾かしてから寝なさい」「スカートを履きなさい」「座っているときは脚を閉じなさい」「小股で歩きなさい」「部活は文化部」「進学するなら近所の学校」「文系にしなさい」「就職するなら近所の会社」など、さまざまでしょう。
このような「女の子なんだから」という考え方は、女の子に対するステレオタイプであり、「女の子はこうあるべき」と発言することは、バイアス発言です。このように家庭で親から「女の子なんだから」言われ続けると、女の子にも「女の子はこうあるべき」というステレオタイプが刷り込まれます。