ストレスチェックの結果にある「仕事の量的負担」について掘り下げていきます。尺度名の正式名称は「心理的な仕事の負担(量)」で、資料によっては「仕事の量」と呼んでいたりしますが、ここでは「仕事の量的負担」と呼んでいます。
3つの領域
職業性ストレス簡易調査票(57問)の結果は、3つの領域に分けられます。
A. 仕事の原因と考えられる因子 | B. 仕事によっておこる心身の反応 | C. ストレスの反応に影響を与える因子 |
質問番号1〜17 | 質問番号18〜46 | 質問番号47〜57 |
19個の尺度
さらにこの3つの領域は尺度に分かれます。合計19個の尺度があります。
A. 仕事の原因と考えられる因子 | B. 仕事によっておこる心身の反応 | C. ストレスの反応に影響を与える因子 |
A-1. 仕事の量的負担 | B-1. 活気 | C-1. 上司からのサポート |
A-2. 仕事の質的負担 | B-2. イライラ感 | C-2. 同僚からのサポート |
A-3. 身体的負担度 | B-3. 疲労感 | C-3. 家族・友人からのサポート |
A-4. 仕事のコントロール | B-4. 不安感 | C-4. 仕事や生活の満足度 |
A-5. 技能の活用 | B-5. 抑うつ感 | |
A-6. 職場での対人関係 | B-6. 身体愁訴 | |
A-7. 職場環境 | ||
A-8. 仕事の適性 | ||
A-9. 働きがい |
対応している質問
57問のうち、1〜3問目の回答から「仕事の量的負担」の尺度を算出できます。
質問番号 | 質問内容 | そうだ | まあ そうだ | やや ちがう | ちがう |
1 | 非常にたくさんの仕事をしなければならない | 1 | 2 | 3 | 4 |
2 | 時間内に仕事が処理しきれない | 1 | 2 | 3 | 4 |
3 | 一生懸命働かなければならない | 1 | 2 | 3 | 4 |
素点換算表
回答からストレスが高いか低いかを計算するには、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(ストレスチェックマニュアル)にある素点換算表を使います。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
計算方法
仕事の量的負担は、15から3問への回答に対応する値の和を引き、その点数を素点換算表に当てはめることで算出できます。例えば、3問すべてに「そうだ」と回答した場合は、15-(1+1+1)=12 となります。点数が12なので、素点換算表の一番右「ストレスが高い」に該当することがということがわかります。
また、素点換算表では、男性と女性で評価点を決める基準点に違いがあります。
ストレスが低い 5段階評価 5 | ストレスがやや低い 5段階評価 4 | ストレスが普通 5段階評価 3 | ストレスがやや高い 5段階評価 2 | ストレスが高い 5段階評価 1 | |
男性 | 3〜5 | 6〜7 | 8〜9 | 10〜11 | 12 |
女性 | 3〜4 | 5〜6 | 7〜9 | 10〜11 | 12 |
素点換算表は男女の差を加味している
たとえば計算後の点数が7点の場合、男性だと評価点は4で「ストレスがやや低い」という判定になるのに対し、女性では評価点は3で「ストレスが普通」と判定されることになります。これは、素点換算表が男女の差を加味した基準点を設定しているからです。素点換算法を使って尺度ごとの評価点を出すと、性別による違いを考慮した結果を出すことができます。
尺度ごとの結果を知ることが重要
ストレスチェックでは「高ストレスかどうか」にばかり注目されますが、尺度ごとの結果を見ることもまた重要です。受検者が尺度ごとの結果を具体的に知ることができれば、自身の状態の問題に気づきやすくなります。また、集団分析をすれば、属性ごとの尺度の状態から職場環境の改善へのヒントが見えてくるでしょう。