ストレスチェックの結果にある「仕事の質的負担」について掘り下げていきます。尺度名の正式名称は「心理的な仕事の負担(質)」で、資料によっては「仕事の質」と呼んでいたりしますが、ここでは「仕事の質的負担」と呼んでいます。
こちらの説明の前提となる「3つの領域」と「19個の尺度」については、1番目の尺度「仕事の量的負担とは」で詳しく説明しています。よろしければご参照ください。
対応している質問
57問のうち、4〜6問目の回答から「仕事の質的負担」の尺度を算出できます。
質問番号 | 質問内容 | そうだ | まあ そうだ | やや ちがう | ちがう |
4 | かなり注意を集中する必要がある | 1 | 2 | 3 | 4 |
5 | 高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ | 1 | 2 | 3 | 4 |
6 | 勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない | 1 | 2 | 3 | 4 |
素点換算表
回答からストレスが高いか低いかを計算するには、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(ストレスチェックマニュアル)にある素点換算表を使います。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
計算方法
仕事の質的負担は、15から3問への回答に対応する値の和を引き、その点数を素点換算表に当てはめることで算出できます。例えば、3問すべてに「そうだ」と回答した場合は、15-(1+1+1)=12 となります。点数が12なので、素点換算表の一番右「ストレスが高い」に該当することがということがわかります。
また、素点換算表では、男性と女性で評価点を決める基準点に違いがあります。
ストレスが低い 5段階評価 5 | ストレスがやや低い 5段階評価 4 | ストレスが普通 5段階評価 3 | ストレスがやや高い 5段階評価 2 | ストレスが高い 5段階評価 1 | |
男性 | 3〜5 | 6〜7 | 8〜9 | 10〜11 | 12 |
女性 | 3〜4 | 5〜6 | 7〜8 | 9〜10 | 11~12 |
男女差が大きい理由
仕事の量的負担(「仕事の量的負担とは」参照)では、「ストレスがやや高い」と「ストレスが高い」については男女差はありませんでしたが、仕事の質的負担はすべての段階に男女差があります。例えば、計算後の点数が11点(「そうだ」が2個、「ややそうだ」が1個)の場合、男性では評価点は2で「ストレスがやや高い」となるのに対し、女性では評価点は1の「ストレスが高い」になります。
これは、「男性と女性に同じ質の仕事をさせたときに、女性のほうがストレスが高くなる」という意味ではありません。素点換算表にパーセントの表記がありますが、これは「ストレスが高い」となる比率を、このような割合で割り振ったことを意味します。
男性は、計算後の点数が12点の人だけで5.7%になっています。そこでさらに11点の人を「ストレスが高い」に含めてしまうと、男性全体に占める「ストレスが高い」となる人の割合が大きくなりすぎたのだと推測されます。
逆に女性は、計算後の点数が12点の人だけでなく、11点の人を「ストレスが高い」に含めても、女性全体に占める「ストレスが高い」となる人の割合が10.3%だったということです。そして10点の人を含めると「ストレスが高い」の割合が大きくなりすぎたのだと推測されます。
ストレスチェックの結果に納得できないとき
素点換算表を使ったストレスチェックは、受検者の回答から尺度を算出するとき、過去の研究からその段階を5つ(または4つ)にレベル分けする仕様になっています。結果を見て、自分が思っていたより悪かったという場合は、改めて自分自身の心と体の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。また、自分は何ともないと思っていたのに高ストレス者と判定されてしまって意味がわからないという場合は、ストレスチェック後の面接指導を申し出てみると良いでしょう。