ストレスチェックの結果にある「身体的負担度」について掘り下げていきます。尺度名の正式名称は「自覚的な身体的負担度」で、資料によっては「自覚的な身体負担度」と呼んでいたりしますが、ここでは「身体的負担度」と呼んでいます。
こちらの説明の前提となる「3つの領域」と「19個の尺度」については、1番目の尺度「仕事の量的負担とは」で詳しく説明しています。よろしければご参照ください。
対応している質問
57問のうち、7問目の回答から「身体的負担度」の尺度を算出できます。
質問番号 | 質問内容 | そうだ | まあ そうだ | やや ちがう | ちがう |
7 | からだを大変よく使う仕事だ | 1 | 2 | 3 | 4 |
素点換算表
回答からストレスが高いか低いかを計算するには、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(ストレスチェックマニュアル)にある素点換算表を使います。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
計算方法
身体的負担度は、5からこの1問への回答に対応する値を引き、その点数を素点換算表に当てはめることで算出できます。例えば、「そうだ」と回答した場合は、5-1=4 となります。点数が4なので、素点換算表の一番右「ストレスが高い」に該当することがということがわかります。
身体的負担度に関しては、素点換算表での男性と女性で基準に違いはありません。
ストレスが低い 5段階評価 5 | ストレスがやや低い 5段階評価 4 | ストレスが普通 5段階評価 3 | ストレスがやや高い 5段階評価 2 | ストレスが高い 5段階評価 1 | |
男性 | なし | 1 | 2 | 3 | 4 |
女性 | なし | 1 | 2 | 3 | 4 |
体を動かすのはストレスになるのか
デスクワークが基本の人からすると「少し体を動かしたほうが、むしろリフレッシュになってストレスが減る」と思うかもしれませんが、この質問にあるような「からだを大変よく使う仕事」というのは、そういったレベルのことではなく、肉体労働を基本とした職務を指しています。
また、体を動かす仕事には、危険な機械を扱う、高所で作業をする、重量のあるものを運ぶ、長時間の運転、人命に関わるような医療・介護・福祉など、一歩間違えば大変な事故になるようなものを含んでいます。そういった業務に従事している人は、自分の安全は、同僚の安全、顧客への安全に配慮しながらの業務遂行となることから、緊張していることも考えられます。そのため、肉体的負荷だけでなく、精神的負荷も生まれやすいと考えられます。
個人結果の身体的負担度が悪い場合
個人の身体的負担度が悪い場合、たとえば次のようなことをおすすめします。
- 寝る前や朝起きたあとにストレッチをして、筋肉をほぐす。
- 勤務時間外では緊張しないようにして、気持ちの切り替えをする。
- こまめに休憩を取って、気を張り続けないようにする。
- 自分に合ったリラックス方法をいくつか用意しておいて、そのときの気分で選んでみる。
集団分析の身体的負担度が悪い場合
集団分析で身体的負担度が悪い場合、会社としてできることを挙げてみます。
- 肉体的負荷を低減・解消するツールを導入する
(筋力サポート、ロボットなどを利用する) - 所定労働時間を減らす
(会社の規定で8時間よりを短くすることも可能です) - 休憩時間を増やす
(会社の規定で長くすることも可能です) - 休日を増やす
(会社の規定で休日を増やすことも可能です) - ノー残業デーや消灯時間などを設け、残業ができないようにする
集団分析で身体的負担度が高い場合は、個人単位の改善では限界があるため、会社として積極的に職場環境改善に取り組む必要があります。