「技能の活用」から見るアンコンシャス・バイアス

ストレスチェックコラム「技能の活用とは」で、技能の活用に関する質問項目「自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない」に対して、「そうだ」「まあそうだ」とネガティブな回答をする女性が男性よりも多く、1.58倍の割合でいるということが分かりました。

実際に持っている技能や知識があるのに、それを活かせない部署や立場にいると感じている女性が、男性よりも1.58倍の割合でいるということは、なにかしらの要因があると考えます。

働く部署や立場は、自分だけでは決められない

自分が一番働きたいと思う会社で、働きたいと思う部署で、やりたいと思う立場で働けている人がどのくらいいるでしょうか。希望を出せたとしても、たいてい会社や上司による判断が入り、決められてしまいます。次のようなことはよくあることです。

  • 第一希望の会社に就職・転職できなかった。
  • 配属先の希望は出せても希望どおりにならなかった。
  • 希望どおりの部署にいたのに3年で異動になった。
  • この担当をしたいと思っても譲ってもらえなかった。
  • 仕事はできるのに、ポストに空きがなく偉くなれない。

アンコンシャス・バイアスが働く

ある人の働く部署や立場を決める際、その人の性別によって、アンコンシャス・バイアスが働くのではないでしょうか。たとえば次のようなことです。

  • 組織のリーダーは男性のほうが向いている、だから海外支社に転勤させて経験を積ませよう。
  • 男性は仕事をして家計を支えるべきだ、だから早く昇進させて給料を上げよう。
  • 女性は感情的になりやすい、だから重要な仕事は任せられない。
  • 女性はか弱い存在で守られなければならない、だから難しい仕事をする部署には配属しないでおこう。

こういった考えが働く部署や立場を決める際に、会社や上司に働いている可能性があります。なお、アンコンシャス・バイアスは、男性から女性、女性から男性に対してだけではなく、同性から同性、自分自身からも働くと言われています。

プロフェッショナルの集団分析の見方

ストレスチェックの集団分析をさらっと見て、「技能の活用」の項目に男女差がなければ、「わが社では男女とも同じくらい技能を活用できている」「男女平等が会社で実現できている」と思ってしまいそうです。

しかし、実際に素点換算表上の回答分布を見ると、必ずしもそうではない可能性があると思えます。ストレスチェックの「技能の活用」の項目については、男性よりもむしろ女性のほうが良い結果が出て初めて「わが社では男女とも同じくらい技能を活用できている」「男女平等が会社で実現できている」と判断できるのではないでしょうか。