このグラフでは、精神疾患と診断されたかどうかにかかわらず、代表的な調査、医療データ、統計モデリングに基づいて推定された、精神疾患を持つ人々の割合を示しています。投稿日時点の推定データで解説しているので、最新の推定データと異なる場合があります。
日本の精神疾患の有病率(1990年、2019年)
1990年から2019年にかけて、不安障害(Anxiety disorders)の有病率は2.7%から2.3%に0.4ポイント減っています。しかし、摂食障害(Eating disorders)の有病率は0.3%から0.4%に0.1ポイント増えています。1990年から2019年の日本の人口は1億2000万人前後なのでその0.1%と考えると、12万人が新たに摂食障害にかかったと推定できます。
疾病負荷と有病率
前回のコラムで、日本は疾病負荷ではうつ病(Depressive disorders)、不安障害(Anxiety disorders)の順でしたが、今回の有病率はその逆でした。それはなぜでしょうか。
うつ病は一般的に重症度が高いことが多く、治療に時間がかかったり、休職・退職など、有病者の生活に大きな影響を与えることがあります。一方、不安障害には程度の差があります。不安や心配が続くといったものから、パニック障害や社会不安障害など外出ができなくなってしまうものまでさまざまです。疾病負荷は病気の重症度を考慮に入れた指標なので、軽度のものも含まれる不安障害の有病率が高く、疾病負荷が低くなっていると考えられます。
世界の精神疾患の有病率
2019年のデータを見ると、世界と比較して、日本は不安障害(Anxiety disorders)とうつ病(Depressive disorders)の有病率は低いものの、摂食障害(Eating disorders)は世界平均よりも高いことがわかります。
ポルトガルは不安障害の有病率が高い
2019年のデータを見ると、ポルトガルは、不安障害(Anxiety disorders)の有病率が8%と世界的に見ても高くなっています。
日本の不安障害の有病率2.3%のの約3.5倍です。
ウガンダはうつ病の有病率が高い
2019年のデータを見ると、ウガンダは、うつ病(Depressive disorders)の有病率が6.6%と世界的に見ても高くなっています。
日本のうつ病の有病率2.1%の約3.1倍です。
ニュージーランドは双極性障害の有病率が高い
2019年のデータを見ると、ニュージーランドは、双極性障害(Bipolar disorder)の有病率が1.5%と世界的に見ても高くなっています。
日本の双極性障害の有病率0.6%の2.5倍です。
オーストラリアは摂食障害の有病率が高い
2019年のデータを見ると、オーストラリアは、摂食障害(Eating disorders)の有病率が1%と世界的に見ても高くなっています。
日本の摂食障害の有病率0.4%の2.5倍です。
グリーンランドは統合失調症の有病率が高い
2019年のデータを見ると、グリーンランドは、統合失調症(Schizophrenia)の有病率が0.4%と世界的に見ても高くなっています。ほかには、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ、アイルランドも同等です。
日本の統合失調症の有病率0.3%の約1.3倍です。