カスハラと従業員へのケア

カスハラは、カスハラ対策をすれば解決するのでしょうか。

カスハラはなくせない

カスハラは、取引先や顧客によって引き起こされるため、完全になくせるものではありません。

仮にカスハラ対策がしっかりした会社でカスハラが起きたとして、従業員がマニュアルどおりに毅然とした対応をし、顧客がカスハラをやめたとしても、従業員がストレスを感じないわけではありません。

カスハラによって受けたストレスを減らすには

カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/cusuhara_manual.pdf

こちらの資料のp.22に「従業員 (被害者)のための相談対応体制の整備」について明記されています。カスハラによって受けたストレスにへの対応が、企業に求められています。

カスハラによるストレスはさまざまな形で現れてきます。

  • カスハラ対応直後に手が震える
  • カスハラを受けたときと同じ仕事、同じシフトにつきたくなくなる
  • 寝ようとしても、カスハラを受けたことを思い出して眠れなくなる
  • 仕事をやめたくなる

ストレスを受けた直後はそれほど症状がなかったとしても、数週間経ってからPTSDとしてフラッシュバックなどの症状が現れることもあります。早期にカウンセリングを受けておくことで、ストレス反応が精神疾患に発展することを防ぐことができます。

なお、「従業員(被害者)のための相談対応体制の整備 」とありますが、カスハラ被害を受けた本人ではなくても、周りの従業員も、カスハラの様子を見ていたり、怒鳴り声を聴いていたり、あとからカスハラが発生したことを知ったりして、不安や脅威などのストレスを感じます。被害者本人と同じような症状が出る場合もあります。被害者本人だけでなく、カスハラが起きた職場にいる従業員へのケアも必要ではないでしょうか。

自社で事業場にカウンセラーを常駐させることが難しいようであれば、外部EAP機関と契約などをすることで、いつでも安心して従業員が相談できる環境を整えることができます。

カスハラによって受けるストレスを減らすには

従業員に対して、ストレスマネジメントなどを学ぶ教育研修を定期的に開催することで、従業員のストレスへの防御力を高めたり、ストレスを感じにくくすることもできます。

従業員自身がメンタルヘルスケアをできるように、メンタルヘルス教育研修を開催したり、セルフケアツールを配布することもできるのではないでしょうか。

総合的なメンタルヘルス対策を始めよう

従業員は、職場や家庭でいつどのようなストレスを受けるかは分かりません。カスハラ対策のためだけでなく、従業員のパフォーマンス維持と離職防止、のために、従業員のメンタルヘルスケアに力を入れてみてはいかがでしょうか。